「うま煮」のマーケティング的に正しい名前を考えてあげました
煮物の話をします。
上記の記事はココスの「旨旨ハンバーグ」というプロモーションすげえな、という話です。
そこから思い出したんですが、わたしも長年疑問に思っている単語があります。それが「うま煮」です。
名乗るな、うまいを名乗るな
こういう感じの茶色い和風の煮物のこと全般をうま煮と呼ぶそうです。
うま煮ってなんなの。おいしい煮物ってことですよね。おいしい煮物、世の中にはたくさんあるよなァ?
ボルシチィ、トマト煮込みィ、ポトフゥ、煮込みうどんンン、ビ〜フシチュ〜、南米の人が作る豆と豚肉煮たやつゥ〜〜〜〜!!!!
今挙げたやつも全部“ウマ”い“煮物”だってことは間違ってないのに、なぜ「うま煮」だけがtasty stewのドメインを独り占めしていやがるんだろうなあ?
定義をね、定義をしらべたらね、
うま煮は甘味をメインに、濃い味に仕上げた煮物のことです。和食好きな日本人の好みにぴったりな料理ですよ!うま煮ってどんな料理なの?作り方やアレンジレシピもご紹介します。
うま煮は旨煮と表記されることもあり、「うま」の意味としては「旨み」を指すのが一般的とされています。うま煮に似た名称の料理として、甘煮があります。素材を煮詰めて照りを出す調理法のうま煮に対し、甘煮は甘い味付けで煮る料理を指すので、2つは異なる料理だと言えるでしょう。 —mararoni
「うまみがある感じの煮物」ってことしかわからねェ〜〜〜〜〜。
筑前煮との違いは?煮しめとの違いは?たとえまずくても、わたしのことうま煮って呼んでくれる?調べてみた!
そもそも、そもそもの話をしてごめんね、うまいかどうかは食べたあとにわたしが決めるので。
本当にうまかったら「うま煮うま煮!(ヒンナヒンナ!)」ってちゃんと言うので、商品名から焦らなくていいんだよ。うまいのはわかったから、アイデンティティがわかる名前で頼むよ。
うま煮のプロモーションはかなり悪手
そういえばこのブログはビジネスブログだったとやたらバズった前の記事で気づいたので、ビジネスにたとえてみましょうか。
セールスプロセスにおいて、プレゼンテーションする商品を「お買い得ですよ!」「高性能なんです!」と自分で言ってしまうのは非常に悪手だと言えます。プレゼンテーションのテクニックとして、顧客の期待値をコントロールすることが非常に重要です。

「今度の新人、東大卒で3ヶ国語ペラペラらしいよ!すぐにNo.1になってやる!って言ってた!」
なんて触れ込みで新人が配属されたら、否が応にも周囲の期待値は跳ね上がり、必然的に東大卒くんは部署配属早々周囲から厳しい目で評価されるハメになります。実力を見せる前に期待値を徒に上げてしまうことは、悪手中の悪手、泥沼なのです。
具体的には「うま煮です!!!!!!おれ、うま煮なんです!!!!!!!!!!食べてください!!!!!!」と名乗る段階でイキることです。食べる前から「ほほう、言うほどうまいのかい?」と厳しい目で評価されてしまいます。
逆のケースでいうと不良が子猫にやさしくするだけで、いい人そうに見える理論があります。これは、不良の期待値(イメージ)が最初からべらぼうに低いために、例えば他人より二酸化炭素の排出量が少ないとか、ふとしたことで好感度が上がってしまうのです。
それをセールスプロセスに応用するとこうなります。
そもそも、うまいかどうかは俺が決める
「お買い得ですよ!今しかありませんよ!これ、すごいんですよ!」と大げさに風呂敷を広げるセールスマンにウッとなったことはありませんか?
これは、明らかに「売り込み」を掛けてきている相手に対して、顧客の心が「なんかうさんくさいな」と防衛機制を発揮しているからです。北風と太陽でいう、風ですね。
一度閉じてしまった顧客の心のコートを力ずくでこじ開けるのは至難の技です。そうならないように、セールスマンは常に太陽であるべく、信頼を重ねるのです。
ダメな例の具体例は「うま煮です!!!!!!おれ、うま煮なんです!!!!!!!!!!食べてください!!!!!!」とイキることです。うまいかどうかは食べてから決めるわボケ。
それよりも、甘いのか辛いのか、何が煮てあるのか、どこ国の料理なのかとか、そういうことを教えてくれよ。
営業職の皆さんは、心に刻んでください。
うま煮のマーケティング的に正しい名前を考えました
上記の要素を踏まえて、うま煮のちゃんとした名前を考えてみることにしました。
- 期待値をギリギリまで下げ
- きちんとアイデンティファイされ
- うまいかどうかを最終判断を顧客に委ねる
…
うーん。
「くさ煮」はどうかなあ?
「えっくさいの?草?草を煮てあるの?カナダで合法化されたやつ?いや、でもそんな感じはしない…食べてみるか…パクっ…あっ、出汁の味がやさしい…うまい…くさくなんてない、君は…うま煮…。」
というシナリオです。どうですか。どうでしょうか?どうなんでしょう…。
神田川哲郎先生、是非ご検討のほど、よろしくお願い致します。